Bi-Bo-6

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記憶を記録 feat. 宇田川藍

アラブ・エクスプレス展 - 森美術館 / ナイトミュージアムが、寝た子を起こす。

急速に変化を遂げるアラブ世界は、生活習慣からアイデンティティに至るまで決して一括りには語れない文化の多様性を持っています。アーティストたちは、その中に息づく伝統、信仰、慣習、気候風土に由来する独特の美意識や、人々の日常生活と社会の現実を、さまざまな美術表現を通して鮮やかに映し出しています。 また、ここ数年、欧米の美術館ではアラブ現代美術を紹介する展覧会が頻繁に開催され、アラブ世界においても、ドーハ(カタール)にマトハフ・アラブ近代美術館が開館(2010年)、アブダビアラブ首長国連邦)にはルーブル美術館グッゲンハイム美術館が建設中であるなど、アート産業が成熟しつつあります。日本で初めてアラブの現代美術に焦点を当てる本展では、アラビア半島を中心としたアラブ諸国のアーティスト約30組を紹介、その一端をいち早くリポートします。

※この展覧会は、日本とバーレーン王国オマーン国カタール国アラブ首長国連邦との国交樹立40周年、及びクウェート国サウジアラビア王国との国交樹立50周年を記念して開催されます。
    ――http://www.roppongihills.com/feature/arab_express/arab_express.html


夜10時の閉館まで森美術館にいたのは、はじめて。10日はお盆休みに入る直前だったからだろうか、神宮で花火があったからだろうか、普段の様子はわからないにしても昼間の入場者数とも比較して遜色がないという印象を受ける。需要は高い。

毎年恒例のアムステルダム・ミュージアムナイトでは、市内40以上のミュージアムが午後7時から午前2時まで開館します。夜のオープン中には、音楽イベント、パフォーマンス、ガイドツアーなどが開催されます。このユニークなイベントには、毎年26000人以上の人々が訪れます。
   ――http://www.holland.com/jp/tourism/article/museum-night-amsterdam-jp.htm

例えばアムステルダムでは、ミュージアムナイトがお決まりなイベントとして開かれているという。なんと飲食も解禁になるそうだ。美術館といえば普段は日が暮れる前の5時に閉まってしまう。ガムとボールペンがご法度の、少々お硬くて高尚な施設という印象も強い。夜中のテンションが聖なる場所を鮮やかに塗り直すんだろう。オランダってところがいいよね。市民の国、行きたいなあ。


私たちだって東京タワーの夜景を見て夜の8時から美術館へと繰り出すその一連の行程が楽しくてしかたがなかった。
日が暮れてから美術館へとくりだすことは、とってもアドベンチックなのだ。


ちなみに10時で閉館してしまったあとは、そのまま東京シティビューに向かって夜の東京を鷲掴み。こちらはなんと25時まで。これも六本木という街がリベラルで時間外であっても受け皿がたくさんあるという証拠のひとつ。夜遅くまで働いている警備員さんやチケットブースのお姉さんを目の当たりにして、深夜までお客さんを入れておくということは警備や電気などインフラ面でのコストも大きいだろうなということを実感した。それでも、時間に縛られないアミューズメントこそが都会のポテンシャルなのか。
そういえば写真撮影もOKだった。進もうとしている。Count Artってアプリもできたばかりだし。



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以下展示から引用。今回はどのキャプションも作品への愛と理解を感じられる素晴らしいものばかり。

極端にポップで真実味に欠ける作品からは、本作が人間のアイデンティティまでも取り替える自由を思わせるデジタル技術に対する皮肉であることが読み取れます。

アラブのイメージを客観的に検証し、抗議、揶揄し、ユーモラスに描きます。

誰にでも提供され無数に消費されていくI'M SORRYは妙に甘い味がするかもしれません。


どの作品にも強烈なメッセージ性が含まれていた、それが大変に心地よかったように思う。
テロリズムと過激な思想、ピラミッドと砂漠など西洋社会が長年手放そうとしない)アラブ文化に対する偏見を打破しようとするものも多かったし、(ジェンダーや民族紛争など)現実に持ち合わせている社会問題に対する鋭い考察もあった。
作者の体験や実感をベースにしたものがほとんどで、作品群は思いのアイコンとしてとても洗練されているように感じた。わかりやすくて、嫌味がないということ。全体的にただよう感情は「かなしみ」。それは改めて私たち一個人の無力さを痛感させる。過去への郷愁もなく、未来へのユートピア思想もなく、「今」を軸に考えさせられるとてもストイックで自己に向き合う表現が多かった。中国の現代アートと相性が良い気もする。私が好きなタイプ。
ユーモアの部分にしても、「くすっ」と笑えるような、笑いのポイントがまるでかくれんぼしているような表現。
シュールにぶっとんでるわけでもなく、「足元に咲く微笑み」って感じだ。あ、でもあのコラージュ群はとってもぶっとんでたね。
色のトーンは、派手でもなく地味でもなく…絵画や造形が少なくて映像作品が多めだったのもあるかもしれない。会場を包むのは、ほどよい生活感。


アメリカナイズドなんて言葉も以前によく見かけたけれど、意図してかそうではないか、「他者」を批判する作品は今回まったくなかった。


自分のことは、自分が一番知っている(べきな)のだ。


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特に公式ページにも載せてあるWhat's Left of Her Land?がお気に入り。


リーム・アル・ガイス
《ドバイ:その地には何が残されているのか?》 2008/11年
ミクストメディア・インスタレーション サイズ可変 展示風景:第54回ヴェネチア・ビエンナーレ、2011年

急速に発展していくドバイの街を大きく見つめていこうとするこの作品。
工事現場の風景は、その場に新しく建つ建造物にとって最初の幼い記憶になる。原風景。
「スクラップ・アンド・ビルド」の意味を考えさせられるし
何かを作るということは何かを失っているのではないかと、そのタイトルが連想させる。



この夏いちおしの展覧会です。



ナイト ミュージアム [DVD]

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