慶喜はその後、実に四十五年間の"余生"を送ることになる。駿府と、その後に移った巣鴨での隠遁生活を経て、慶喜が最後の十二年間を暮らしたのは、生誕地の旧水戸藩邸(小石川後楽園)からほど近い小石川区小日向第六弁天町(春日二丁目付近)だった。
「江戸」は入江の入口という大和言葉である。かつて将軍職に就いたばかりの慶喜に、大阪城で英国公使ハリー・パークスとともに謁見した公使館書記アーネスト・サトウは、「東京」という地名を「粗末な合成漢語。日本人は先人の美しい言葉を醜悪に変えるのが好みらしい」と皮肉っている。
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現在の皇居が江戸城そのものというわけではない。本来の江戸城の規模は私たちの想像以上に大きく、浅草橋から水道橋、市ヶ谷、四ツ谷、赤坂、新橋をぐるりと巡るように外郭が築かれ、囲まれた中には現在の千代田区のほぼ全域がすっぽりとおさまり、加えて中央区、港区の半分以上、そして新宿区、文京区の一部も含まれていた。