Bi-Bo-6

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記憶を記録 feat. 宇田川藍

翼の王国 - September 2012 No.519

勝利の美酒、敗北の美酒 - ANA'S WORLD SCOPE 船越園子

「二日酔いだったんだ。」栄えある全米オープン会場で、そんな言葉を口にしたのは北アイルランドのグレーム・マクダウェル。2年前の全米オープン優勝後、半年以上も勝利の美酒に二日酔いしていたと彼は言った。
 喜びを感じていた幸せな日々?そういう二日酔いなら下戸の私も味わってみたいと思う。だが、彼の二日酔いは逆の意味。初のメジャータイトルにすっかり麻痺してしまい、不調に陥ったダメな日々のことだった。
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「挑んで負けたんだから悔いはない。買っても負けても今夜はパブで乾杯だ。」

「未完成な」ワインへのオマージュ - ジャコモ・モヨーリ

 私の知的好奇心を特別かきたてるテーマがある。それは建築というものが自然とどのような関係性を持ちうるか、というものである。建築は、"ファッション"としてもてはやされて、私たちの未来を大きく左右するテーマであることが忘れられ、言葉だけが空回りしている議論も見受けられるのが残念だ。
 ワインの世界でも醸造所の捉え方が大きく変わってきている。従来は、機能すればよい、美的な建物であればなおよい、といった具合だったが、今では、醸造所が位置する地域と自然がドラマチックな一体感を持つようにと配慮されている。
 このような、一つの建造物とそれを取り囲む風景を造るにあたって、自然と人の技を調和させるという考え方は「アーキネイチャー」と呼ばれている。たとえば、醸造所は、ある風景のなかに後から建造されたのではなく、その地域の時間の流れの中で、風景の一部としてともに「誕生」したように見えなくてはならない。もちろん、これを実現するのは簡単なことではない。
 それゆえ、建築家はブドウ畑と醸造所だけでなく、そこにいる人間について、そして植生や気候など、あらゆる事象を深く研究しなくてはならない。さらに建築家の思考は、地域の歴史・文化、醸造上の地理学、その醸造所を営む醸造家の人格や思想までをも包括していなければならない。