LIXILギャラリーはどの企画展も上質です。今回の展示も、実際に見て触れるタイルや壁紙などがたくさんあり、LIXILという歴史と伝統ある企業だからこそ、そしてこの規模のギャラリーだからこそ出来るといった展示内容。
私は最終日午後に駆け込みで観に行きましたが、学生がとても多かったのが印象的でした。
展示では、ポンティの、詩的で正鵠を射る数々の発言の引用と、実際に建築作品で使われたタイルパターンの複製などを通じて彼の思想への理解を深めていきます。こういう展覧会で、展示の合間に流れてるインタビュー映像って素通りされることも多いと思うのですが、ポンティの発言は「社会における建築の役割(たとえば学校や教会などの施設についてだったり、教育についてだったり)」の重要性を明瞭に語るものも多くて、彼が話してる映像をみんな食い入るように見てました。私も全く飽きませんでした。建築作品同様に、言葉選びもどこか幾何学的だったのだと思います。
いくつかの写真と引用を交えて、本展を振り返ります。
※太字は原文ママ
本展では、重さを伴う建築に「軽やかさ」と「薄さ」「動き」を追求し、その結果行き着いた建築の皮膚(表面)へのこだわりを、素材となったタイルが効果的に使われたポンティの建築作品をとおして「内壁」「窓」「床」「外壁」の4テーマで読み解きます。LIXILならではのやきもの技術を駆使して再現したタイルの空間展示からは、ポンティが目指した「軽さ」や「温もり」を体感していただけるでしょう。
ヴィラ・ブランチャート(ヴェネズエラ・カラカス)の1階平面図。
人物、家具や植物の配置だけでなく、動線や視線まで、綿密に書き込まれている。
建築をつくりましょう!
建築をもってする以外にはできないものをつくりましょう!
建築は、外は厳格で緊密なもの、内は遊びと驚きに満ちた有機体です。
外側は結晶ですが、内側には人生があります!
この表現とても詩的ですが、その実汎用的な「フォーマットとコンテンツ」の話でもあると思います。今の自分の生活(昨年結婚したので)に照らし合わせてふと、「"(家という)物件"は結晶だけれど、そのなかにある"家庭"は有機体だな」と思うなど
自然のなかに差し入れられた建築の秩序は、床から始まります。
床は法則であり、結晶の投影です。
そして床は、建築を完成し躍動させるすべての可動なものと生きるものが、
その上で戯れるチェス盤なのです。
かつて壁と窓の関係性は<疎と密>で定義されていました。
壁は個体であるがゆえに密であり、窓は孔であるがゆえに疎。
ある閉じたボリュームのなかで、密はいつも疎を支配してきました。
…しかし今日の壁はもはや、かつての個体、密な真の壁ではありません。
それは骨格を覆う皮膚なのです。
タイルは窯変による色彩のゆらぎが温かみを伝える素材である。そして幾何学的なフォルムに陽光が注がれると陰影が紡ぎだされて、表面は動き始める。薄さ、軽さを追求したポンティが、物理的に重い素材であるタイルを好んだのは、建築にこうした生きた皮膚の感覚や体温を与えるためだった。
建築のファサードとは理想的にいえば、白い紙片のように無垢な表面です。
建築の秘かな遊び、デザイン、躍動は窓から始まります。
一方、墓のファサードには窓がありません。
そこから誰も顔を覗かせることはないからです。
窓とは生命であり、なかに生きるもののためにあるのです。
窓 - リズムのコンポジション
窓は生のしるし、窓を開けて外とつながるという行為は生そのものだ、とポンティは考える。ピラミッドには窓がない、死者の家は封印されている。
かつて西洋建築の厚く広い壁に開けられた窓は、躯体(くたい)に光と軽さを与える孔となって、疎と密のバランス関係を築いていた。ところが、モダニズム建築がカーテンウォールを発明するとこの関係性は希薄になる。
ポンティは、建築家フィリップ・ジョンソンの「グラスハウス1」について、「窓は消えてなくなり、総ガラスの壁が現れた」と記している。窓を通じて内部から外を眺めるのでなく、外から内部が眺められるものになった瞬間である。
企画展ポスター。よく見れば、「タイルっぽい!」素敵なデザイン。
"建築は、外は厳格で緊密なもの、内は遊びと驚きに満ちた有機体です。外側は結晶ですが、内側には人生があります!" /「建築の皮膚と体温-イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界- 展」最終日かけこみ。 https://t.co/r4rf3ZqJwr
— ウダガワアイ (@aimerci) November 22, 2014
「過剰でありながらも魅惑的な視覚効果」
— ウダガワアイ (@aimerci) November 22, 2014
「建築の皮膚と体温」やばかった。ミラノのサン・フランチェスコ教会めもめも
— ウダガワアイ (@aimerci) November 22, 2014