Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

乱 - 黒澤明監督

乱 [Blu-ray]

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1985年/日本/日本語


出演
仲代達矢寺尾聰根津甚八/隆大介/原田美枝子




くろさわあきら…おづやすじろう……
日本映画の金字塔だと知ってはいても、なかなか触手が伸びず観る機会がなかった映画。
超初心者ですがよろしくおねがいします。


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そんな乱ですが、フランスの方々との共同制作、ワダ・エミさんの素晴らしい衣装、武満徹さんの音楽、リア王や三本矢など様々な古典エピーソードへのオマージュ、なによりも各役者さんの立ち振る舞い…それらの調和がとても美しい作品だと感じました。
赤・黄・青のバランス(各人のパーソナルイメージづくり)もすばらしい。これは、言語化した上で各色を決めたのか、それとも色彩担当のひと言で決まったのか、すごく気になるところです。


上に書いたように、大部分がオマージュであるので、「理解→分解→再構築」という表現だと私は理解しています。
なので教訓とか、心に刺さるひと言とか、そういうのは正直ないし、それを求めて観る作品でもないのでしょう。


ただ映画の評価において「空気感」「世界観」(の密度)や完成度の高さといった部分の存在感も大きいし、
日本文化(武士道と呼ばれるものや、その対極にある西洋文化への柔軟性)の特徴も端的に伝わる…という意味でも
広く深く評価されるに値する映画だと思います。
時代背景を考えると撮影技術、そして演者の方々の集中力もさぞ素晴らしい。お城を燃やしたり、自然をきれいに描いていたり。
あと私はロングカットと遠くからズームしていくカメラワークが大好きなので、そこでもこの映画のスケールの大きさを感じ取れます。


私は話をするときに頭より口が先に動くタイプなのだけど(しゃべったあとに「あ、私ってこういう考えをしてるんだ」って勝手に納得してフィードバックしてることがすごく多い)、こういう映像制作畑の人は、撮ったカットがどういうものになるのか、もう目にはそれが見えてる上で撮影してるのかな?と気になります。(絵コンテを書いたりするし、制作陣でイメージも共有もしなくちゃならないからある程度は視覚化した上で撮影するのが常なような気もするけど、その段階での、解像度というかイメージの鮮明さはやっぱり監督のセンスの高さに依存するのかなと)


いろんな俳優さんの若いころ、っていうのが観れたのもうれしかったです。根津さんがぎらぎらしててかっこよかった!ピーターさんの道化もユニークだし「助演」ってまさにこういうことをいうのかな、とも思います。すごい、のひと言です。


「結局、色恋に溺れると滅びちゃうよ」っていうバッドエンド感にシェイクスピア悲劇と日本文化の親和性の高さというか、いまいちハッピーになれない絶望感を感じてしまったり。*