Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

TIME/タイム - アンドリュー・ニコル監督

"In Time"

2011年/アメリカ/英語


出演
ジャスティン・ティンバーレイクアマンダ・サイフリッドキリアン・マーフィ

あらすじ
そう遠くない未来、遺伝子操作で年を取らなくなることが可能になった。人口過剰を防ぐため、時間が通貨となり、人々は自分の時間で日常品から贅沢品まで支払うこととなった。裕福な人、すなわち時間を十分に持っている人たちは永遠に生きることができるのだ。他の人は不死のために時間を得るために働き、時間銀行から利子付きで時間を借り、人によっては他の人から時間を奪い、生活していくのであった。左腕に光る時間表示が0になるとき、人は命を落とす。一秒一秒が無駄にできなくなった世界で、ある貧乏な男がひょんな事から117年もの時間を手に入れる。
    ――――Wikipediaより

wired.jpの記事: bit.ly/qIZGkB


「Time is Money.」とはよく言いますが、とってもユニークな題材と思いました。物語内の世界はある意味で平等です。ほしいものがあれば時間を「売れば'いい'」のですから。逆を言えば、その世界の中にいなくとも、(本物のこちらの世界で)私たちは1秒1秒を「手放し続けている」わけです。このへん、時間売買によって成り立つ社会がどんな欲にあふれたものになるのか…映画よりも小説でじっくり読んでみたい気もします。






ネタバレするよ
★---

JTっていうのは、アメリカでいうとキムタクみたいな存在なのかな…
In Timeは、少しシリアスでちょっぴりセクシーなアクション映画です。つまり中途半端です。
あらすじにも書いてある通り、「時間が通貨となり」「金持ちは長生き」「貧乏人は早死」する世界…を舞台に設定したところまではいいのですが、いまいち世界観を完成させることができなかった様子。どの範囲までパラレルなワールドを作り「こめ」ばよかったのか、そのあたりの答えが出ないまま作られた作品だと見て取れます。
最近は逃避行映画を観ていなかったので、主演の2人がとってもクールに感じられてきゅんとしました。(『ナイト・アンド・デイ』って、おもしろい?)それにしても、暗い画面に緑色のデジタル数字…となるとどうしてもマトリックスを思いだしちゃうよね。画的な部分でも斬新なSF感を提示できなかったのが、本作の惜しいところ。


個人的にはアマンダがとてもミステリアスでセクシーだったので、彼女の魅力的なショットをもっともっと見たかったです。彼女のもつ「カワイイ」感じはとっても日本的で、受けもいいんじゃないかなと思いました。ニッキー・ミナージュをもっとマイルドにした感じで。うーん、2人のセクシーなシーンがあってこその映画だと思うけどなー(と思いつつ、やっぱりそういうシーンがトレーラーに入っていると安っぽくなるのは否めないので、予告では見せないで、本編の終盤にこっそり、って感じがベスト)。ジャスティンが彼女の手をひっぱって走るシーンがやたらと頭に残っているんだけど、要は「彼女は積極的に逃げたいのかそうじゃないのかはたまたハニートラップなのか?」っていう部分の心理描写が超希薄だなと感じました。まあ実はハニトラだったっていうのがアクションミステリー的にはやはり最高なのだけど、そうするとだまされた(心優しい)ジャスティンが主人公としていたたまれないのかもしれないね。仕事は工場作業員だしお母さんのお誕生日お祝いがエピローグに挿入されているし、(心優しい)好青年という骨太な役ではあるのだけど、やっぱりスーツを着て走るとジャスティンはジャスティンになってしまう…。ギャップとしてはかっこいいんだけども、タイムという映画の中ではとても宙ぶらりんな存在です。んーそういうセレブっぽい映画が欲しければ『ツーリスト』でも見てろって感じなのでしょうか。

パーティーのシーンなんかを見ると本作の人物はみんな当たり役でラグジュアリーな雰囲気を持っていると思えます。きらきらした世界なのか、工場男(ある種『モダンタイムス』でありプロレタリアートを連想させる)が一発逆転する人生なのか。この振り幅の大きさに製作陣もまとめきれなかった様子。 腕相撲するところとかはカイジみたいな下克上感があって見ててすっきり気持ちいいシーンでした。


先にも書きましたが、美術の部分では、未来都市と現代の下町との対比が甘い。車のデザインがんばったなーって感じで、正直未来だかパラレルワールドだかわからないです。ついでにいうとクライマックスも超びみょう。

ただ脚本に違和感とか小手先感とかはないので、後味はまあまあいい感じです。
設定勝ち、主演カップルのシルエット勝ちな作品…ラノベの表紙って例えると妥当かもしれない。