人事院によると、長期国費留学した官僚が5年以内に離職するケースが2010年度には過去最高の15人に達したという。その数は07年1人、08年3人、09年6人と年々増加する傾向にある。留学費用は国に償還する義務はあるが、留学の間も給与は支払われる。日本は優秀な官僚の育成に課題が残る。
円高を活かせ
「海外で稼ぎ、所得を国内に還流させることが今後の日本の繁栄のためには不可欠な条件となる。つまり、国内企業の海外への直接投資や証券投資によって配当金などの形で利益を国内に還流させ、収入を増やす戦略だ。」
「実は、すでに日本経済は貿易よりも海外投資で稼ぐ構造に変わっている。日本は、サービスを含む貿易取引を示す貿易・サービス収支の黒字よりも、海外への直接投資などから得られる所得収支のそれのほうが大きい状態にあるのだ。」
「原材料を輸入して、付加価値の高い工業製品に加工、これを海外に輸出して外貨を稼ぐという加工貿易型の産業構造は、経済の成熟化に伴い変化を遂げているのだ。」「国内総生産(GDP)の約2倍にも達する政府債務を抱える日本の長期金利が1%という超低金利で、欧米債務危機が深刻化するなかで、世界のリスクマネーが円に逃避している理由(だから円高なのだが)は、約250兆円(10年末)の対外純債権国で安定的に経営黒字を維持しているからだ。この黒字を維持・拡大するには、今の円高を活用した海外投資で、利益を生み出す優良な資産を増やすことである。それはミクロベースでみれば、民間企業による積極的な海外企業に対するM&Aや投資にほかならない。」
「新興国を安価な労働力をあてにした生産拠点という位置づけから、所得が増え生活水準の向上に伴い「消費市場」へと立場を変えた」「中国やインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)などのアジア新興国の、年間世帯可処分所得が5000〜3万5000ドルという「中間層」人口は00年は1億4000万人程度であったが、08年には8億8000万人へと約6.2倍に増加しているという。足元では10億人に達している可能性が高い。」
「09年4月1日から始まる事業年度から海外法人からの配当金を国内に送金する場合、それまで実施されていた国内課税がなくなり、海外と国内での二重課税問題が解消された。この制度改正に伴い、海外子会社などから国内に利益を戻しやすくなった。」
「先行した米国では、ソフト開発や法律、会計などの高度なサービス業で雇用をカバーしようとしたが、教育やもともとの生活水準の違いなどから格差拡大をもたらし、ウォール街から始まり全米に広がった大規模なデモに発展した。政府や企業は、米国を反面教師に教育しシステム充実や所得配分に配慮が必要だろう。米国式ではない、日本人が幸せで豊かに暮らせる日本独自の体制作りが急がれる。」
「製造プロセスの国内基盤の縮小は避けられないにしても、海外生産が増えるに伴ってロイヤルティー収入や投資収益が増えるという構造が生まれつつあるといえる。」「本社機能を日本国内に確立できずに海外展開を積極化しても成功はおぼつかない。」「国内の本社機能が強化されれば、それを支える事業所サービス業へのニーズが高まる。反対に高度なプロフェッショナルサービスが成長することが、国内に高度な本社機能を残すことができる条件である。つまり、海外生産シフトの積極化とそれを統括するグローバル本社機能の強化により、企業内にホワイトカラーを確保するほか、専門業務を外注することで、新たな雇用を生むことが期待できるのである。」 「加えて、再就職支援や職種転換のためのプログラムを充実させることが求められる。とりわけ海外現地法人でも通用する職業別資格制度を整備することで、グローバル規模で働き手の修行可能性を高める発想が重要であろう。」
「購買力平価ベースではNIES諸国のうち台湾、香港、シンガポールは日本は上回っており、ASEAN諸国もすべての国が1000ドルを上回り、中所得国入りを果たしている。」「ASEANは15年に「ASEAN共同体」として経済統合を図る方針を掲げており、その第一歩として09年1月に初期加盟6カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ブルネイ)が域内関税を撤廃させている。「共同体」設立の際にはASEAN加盟10カ国すべてが関税を撤廃するため、アジアに中国やインドに次ぐ巨大な人口を擁する市場が誕生することになる。」
例えばセミナーやカンファレンス後に「先日お話させていただきました」などとメールを送り、「就職を考えており、履歴書を作成したので見てほしい」とファイルを添付すれば、うっかり開いてしまう受信者もいるだろう。もちろん、添付ファイルを開いても普通のワードファイルやPDFファイルだ。だがその裏で不正なプログラムが実行されている。そして、ターゲットのパソコンから社内のネットワーク情報を盗み出し、機密情報が保存されたサーバーへアクセスしていく。
レオン・ワルラス
「ワルラスの一般均衡は、自由競争の下で、すべての市場参加者が満足を最大化し、すべての市場において需要と供給が等しくなる状態を示している。」
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「『要論』の序文でワルラスは、純粋経済学の課題を「絶対的自由競争という仮説的な制度の下における価格決定の理論」と定めている。ここでワルラスは、2商品の交換から出発して、「交換の理論」「生産の理論」「資本形及び信用の理論」「流通及び貨幣の理論」へと、単純な世界から複雑な世界へと、段階的に議論を進め、価格決定の対象を拡張していく。」
「ワルラスによれば、純粋経済学が扱うのは、現実ではなく理念的状態であり、純粋経済学は、公正の実現を目指す社会経済学は、公正の実現を目指す応用経済学に、政策基準を提供するためのあくまでも先験的な理論である。純粋経済学は、自由競争の効率性を証明したが、それは現実の市場が効率的であることを意味するのではないのである。」「ワルラスの社会経済学は、国家が土地を国有化すること、そしてその結果、国家は地代を国庫収入にあて、すべての税制を廃止することを唱えている。賃金への課税がなくなれば、労働者の境遇が大きく改善されることをワルラスは指摘する。」
「経済がうまくいかないのは、経済政策が悪いからではなく、容易に収穫できる果実――無償の土地、技術革新、未教育の賢い子供たち――を失ったからだと本書は主張する。」「過去の技術革新では、電力、自動車、航空機、家電製品、電話、水道、大量生産システムなどが登場した。しかし、今日の技術革新を見てみると、インターネットを別にすれば、私たちの暮らしは50年代以降、大して変わっていない。自動車も家電製品も、性能は向上したが、それ自体、すでにあったものだという。」「また、成長できないことと雇用が増えないことを同義に論じていることにも疑問を持つ。雇用は、成長ばかりではなく、労働市場の柔軟さによっても生まれるものだからだ。」
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北京の環境問題
「リスクはリスクとして認識しているが焦っているわけでもない」、今の北京の雰囲気を伝えるとすればそんなところだろうか。そもそも中国政府は、余計な説明で景気に対する世界の中のコンフィデンスを崩すようなことはしないものだ。」
韓国の大学整理
「ある大学関係者は、「大学に入ると目線が高くなり、学生は中小企業に見向きもしなくなる」と指摘。そして「就職できずに卒業する学生は、社会にも相当不満を持つ」と言う。」「これからは4年制大学の卒業比率が低いほど先進国だ」最近の李明博大統領の言葉である。」
ロシアが先進国入りする可能性
「市場原理による自由競争を唱えた反抗的な新興資本家ミハイル・ホドルコフスキーの投獄、資産没収という強権政治の「むち」と、労働分配率や社会保障給付率増大の「にんじん」の使い分けが、ロシア国民の痛みを伴う近代化モチベーションの覚醒を妨げ、プーチンの権力基盤を強化しているのだ。
社員食堂
「社会的責任活動と言えば、投資家や消費者からの要望に応えることだった。今は、社員への福利厚生活動も、その一環と捉えられている」