Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

Coralway JTA 2006.11/12

  • 祈りと拝みの島 沖縄

 「お通し」とは、海に向かって祈り心を通せば、島で拝むのと同じ効果があるというもので、これもまた島に戻れないからと祈りをやめるよりはずっと能動的な解決法だ。仏教を取り込むのと同じ寛容さと合理主義が見てとれる。
 沖縄は文化を縦割りにするとパイ菓子のように時間の重なりが見える場所である。そこがこの地のおもしろさであり、魅力だと思ってきたが、どうやら信仰に関しても同じことがいえそうだ。
 土台にあるのは島に渡ってきた先祖を思う気持ちや、彼らの努力があっていまの自分があるという感謝の意である。そこに既存の宗教の要素が接ぎ木され、時代に合ったものに変えられていく。だがカタチは変化しても元は明け渡さない。魂はいつも先祖とともにあるのだ。
 思えば、本土でも信仰心の核になっているのは祖霊への祈りである。いや、日本に限らず、祈りの原点はそこにあるといっても間違いないが、沖縄にいるとそのことが身近に迫ってきて、人はこうやって祈り暮らしてきたのだととても腑に落ちるのである。