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日常のあれこれ

パリ20区、僕たちのクラス - ローラン・カンテ監督

"Entre les murs"

パリ20区、僕たちのクラス [DVD]

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2008年/フランス/フランス語
カンヌ映画祭パルム・ドールを受賞


映画じゃない、映画。


★---
まず生徒がすべて演技経験のない本当の中学生だったというから驚き。
各人の個性、役割、中学校の教室という場所の引力…ドキュメンタリーなんじゃないかと思うほど。


教師が「生意気な」生徒と対立する、奮闘していくという作品は世の中にたくさんあると思う。けれどそういった作品はどれも教室の中をセンセーショナルに描きすぎている。実際に10代の学生が見たら一種のパラレル感に興奮するか、滑稽に見えて興ざめするかのどちらかだと思う。
けれどこの作品に関して言えば、あらゆることが「本当にこのクラスの中で起きたこと」のよう。その自然さ、まっすぐさが画面越しに伝わってくること、私たちがしっかりと受け取ることの出来るその「体験」にこそ、カンヌ映画祭で最もすばらしい賞を受賞したゆえんなのではないでしょうか。


パリ20区、という場所はどうやら下町らしい。そういった学生ばかりなわけではないけれど、きっと移民が多いのだと思う。いろんな民族のいろんな子供、いろんな事情を抱えてパリに住んでいる…彼らのリアルな心情も見事に描かれていたのが特に印象的だった。言い争いや意見の発し方など、どれもが意味のあるシーンだった。
中庭で遊んでるみんなを遠くから通っているショットがすごく好き。


フランソワ先生の指導の仕方もかなり興味深かった。「わーいいなあ!」って思ったり「私だったらこういう言葉かけそうだけど…どうなんだろ?」って思ったり。
この映画のすごいところは、先生も生徒も「一本芯が通っている」ということ。「先生は親と立場を同じにしてはいけない」


教室もずっとうるさいわけじゃない。真面目に勉強してるシーンもあるし、みんなが笑顔になるシーンもある。
もっともらしく感動させようとするものよりも、こういう作品にこそ「生(きること)」が描かれてる気がする。*