Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

パラダイス・キス - 矢沢あい原作 新城毅彦監督

Paradise kiss (1) (Feelコミックス)

Paradise kiss (1) (Feelコミックス)

2011年/日本



原作かんけいないからね!!映画の感想。




邦画ってだいたいキャストに釣られて1500円をミーハー消費に落としてがっくりするんだけど、
もはやキラキラしたキャストの見物以外に価値がない。だから元は取れているしある意味期待を裏切らない。
そんななか、「君に届け」は想像以上にストーリーが骨太ですてきな映画でした。


★---
オトナ(製作者)って大変だな、と思わせてくれました。
利害の一致とは恐ろしい。


以下の感想はけっこう暴力的です。原作未読。


なにしろマンガの世界を実写化するという現象自体が本末転倒であるのに、
過去に流行った作品を現代のトレンドを織り交ぜるっていうのでまたちょっとした無理がある。


NANA(原作)のヒットでヴィヴィアンが売れた、なんて言われているらしいです。
だけど、今の時代に(映画で)中島美嘉の演じた女性歌手像が受けるかと言われたらちょっと微妙ではある。
GLAMOROUS SKYみたいな曲、後発でヒットしてない。


私自身マンガにまったく触れずに育ったけれど
そういう意味でマンガというのは(特に女性が描く作品)、時代の器のかたちを否が応にでも写しているんじゃないかなと思います。「売れるマンガ」は「売れたとき」の時代を反映している鏡。


ちなみにNANAダブルキャストだった宮崎あおいも当時は大河やソラニンを演じる前だった。例えば俳優ひとりひとりのキャリアはそういった風に各作品の積み重ねの微妙なバランスのなかで形成されていく(順番が大事だということ)ものだとも思う。
そういう観点で捉えてみれば、この作品は「役者のためにある」のは間違いないと思うし、彼らにとって大きなキャリアパスのひとつ。だから無価値ってわけでもない。上記のとおり私たちも俳優目当てにチケットを買う。ここに需給が成り立っているのであれば、私たちはオトナに文句を言うことはできない。


なぜ邦画には「ヒューマン」と呼ばれる作品が見当たらない(あまり話題にのぼってこない)のだろう。
恋愛の、それもちょっとファンタジックすぎてうれしくもかなしくもないものばっかり。
でも私自身邦画に精通してるわけじゃないので、これって偏ってる考え方です。ごめんなさい。おそらく素晴らしい作品は数多くあるのだろうけど、それもおそらくひとにぎりの「監督のこだわり」によって支えられているのだろうと想像します。


平凡な生活を送ってきた方々が新卒で制作会社に入り、そういったエンタメ作品に関わってゆくのであれば、当然のことなのかもしれない。
アウトプットとしてあらわれた日本の作品に対するつまらなさ・茶番感は「ドラマチックに生きてきたことのない日本人がつくる、ドラマチックってこういうものだよね?と観客に同意を求める」部分に起因してるんじゃないか、とか私見。つくってるにんげんがおもしろくない。
…っていうことをツイッターに書いた。





一番おもしろかったのは、ゆかりがジョージ…というよりは北川景子向井理の前でおもいっきし「女」になっちゃってたところ!声ちがうし!!かわいかった。意図的に撮られたイメージビデオなんかよりよっぽど彼女にわくわくどきどきできる映像作品だと思う。彼女には青が似合う。
ホールAで笑ったり、表参道や目黒川ぞいがやたらと「華やか」に描かれていたりして(本当の華やかさはその街で舞ってるお札の量や、ショップの店主の経歴なんかを垣間見てこそ実感できるものなのだろうに)どうみても「東京(笑)」になっちゃってたのがユニークでした。ふだん東京大好きな私が食傷気味になった。これは予想外。っていうか上海の外灘とかの方が夜はロマンチックですよ!


女子は「いやいや!」って言いながらも(諦めずに)男性が迫ってくるのを待っている。一線を超えた後は女性の方が積極的だったりする。渦中の男女はおたがい役割を演じている空気に酔っているから気がつかないけど、それは視覚的にセクシーなシーンよりよっぽど生々しい。そんなことを感じました。


あとゆかりはジョージのことを「殺される!って思ったの」なんて言っていたけど、ただのひとめぼれと何がちがうのか、よくわかんなかった。
どうしてもむすばれなかった恋人を異国の地で再会させたがる。(最近黒木瞳岡田准一の「東京タワー」(2005)を見返したのもある)なんで?そんなに海外にあこがれるのか?ハナミズキにもNYが出てきた。
ロマンスのエンディングに水を差すつもりはないけれど、個人的な意見。片方が海外(というか日本とは違う文化圏)に行ったとしたら、そこからすでにもうひとつのあたらしい人生が始まっていると思う。あたらしい出会いとあたらしい人格形成が待っているはず。そんななかで旧知の、それも自分が焦がれた人に出会えたらそれはうれしいだろうけど、その当時の気持ちが一瞬でわきあがってくるかって言われたら、逆に違う気持ちで接したいという欲求がある。(まあその「違う気持ち」というのが「素直に愛する」ことができるようになった、なんて変化として描けるのかもしれない。)


高級ホテルorマンション(夜景込)とイケメン。という図式は少女が永遠に憧れる題材なのだろうか。
高校に入った頃東野圭吾原作の「g@me」で藤木直人演じる広告代理店のサラリーマンが自分には本当にかっこよく見えてどきどきしていた記憶がある。それも今回みたいにとつぜん女の子が高級マンションで住める!ってストーリーだった。男性からしたら養う(囲う)欲求なんてものもあるのかもしれない。これもまた利害の一致。
だけど今の年齢から見たらありえない話すぎて笑っちゃう。少なくとも劇中に登場する高級マンションに住むことによって得られるものは、優越感(と、頑丈なセキュリティ)くらいだろうと頭の中で勝手に理解をしている。そのマンションに住む住人のコミュニティが充実してるとか、そんな風に描かれているわけでもないしね。(実際はたとえばジムがあるとか、自然環境が良いとか、駅から近いとか、そういう部分に「高級マンション」として値付けされる価値があるわけで、そこが描かれていたら少しは理解できるかもしれない)。わかりやすいセックスアピールかもしれないけど、かっこいいお金の使い方だとはおもえないなー。それこそ向井理のつくってくれるカクテルを飲んでる方が、夜景を一緒に見るよりもよっぽど酔えそうです、って話。


東京の名所がづらりってこともあってロケ地めぐりをちょっとしてみたいなと思いました。4人で入ったあのカフェが気になる。
あと山本裕典はもう高校生ではないと思う。
ちなみに五十嵐麻朝も出てるって聞いてびっくりした!どこにいるのかな*