Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

SALUS March 2011 Vol.120

「優しさと献身という自己満足」 文・山下敦史

アガサ・クリスティ著『春にして君を離れ』

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

「やがて彼女は、家族に尽くしてきたはずの自分自身が、実は一方的に理想を押し付けていただけだと気づかされる。気に留めなかったのではない、見えないふりをしていただけだ、と。」
「自分が間違っていたと認めることは難しい。誰もが自分の歩んだ道を無駄だったとは思いたくないからだ。真実に目を開き、自らを悔い改める。とても美しいことだが、その後も人生は続く。」
「この本をぜひ手に取ってほしいとはとてもいえない。一度読んでしまった後では、もはや同じ自分ではいられなくなるだろうからだ。それでも、自分の中にあるはずの真実と向きあう勇気を、あるいは完全に蓋をしてしまう勇気を求めているのなら、きっと大切な一冊になるはずだ。」