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日常のあれこれ

落語で読み解く「お江戸」の事情 - 中込重明

そば一杯は約533円。一文33円。
「火事は悪いことばかりとは言えなかった。一度起きると、職人たちには大量の仕事が舞い込んだからだ。「一度大火があると、三年は食える」などとささやかれていたという。火事の後は一時的に景気が上向くので、江戸の中で一部の大商人や権力者に偏っていた富が分配される結果となった。」
武家には瓦葺の屋根を、商家に対しては土蔵造りや牡蠣殻葺き(かきがらぶき:牡蠣の貝がらを葺いた屋根)を奨励し、燃えにくい町作りを進めた。」
「太平の世が長く続いた江戸時代後半、人々は年をとることを「老入(おいれ)」と呼び、まさに新しい人生への入り口ととらえていた。そして、隠居後を有意義に過ごすことに価値をおき、前向きに老いを楽しんでいたのである。それは、江戸という時代と町が、物質的にも精神的にも、ある程度豊かであったことの一つの証とも言えるだろう。」
「江戸では大人一人あたり一日に四合近くの米を食べていたことになる。出職の職人や棒手振などが持っていく手弁当も、握り飯にたくあんか梅干というのが定番だった」
「江戸っこ気質としては、時代の流れの中で、野暮を嫌う、喧嘩早い、見栄っ張り、義理人情に厚いなどが加わっていった。こうした江戸っ子たちの価値観や美徳、性質などは、落語の中にも随所盛り込まれている。」