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日常のあれこれ

NEWSWEEK '10 9.1

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2010年 9/1号 [雑誌]

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2010年 9/1号 [雑誌]

「7月1日に共同市場が発足した東アフリカ共同体。加盟国5カ国(ケニアタンザニアウガンダブルンジルワンダ)は既に域内の関税を撤廃し、12年までに通貨同盟の成立も目指している。さらに15年までには統一政府を設立する計画もあり、実現すれば人口1億3400万人を抱える「国家」の誕生だ。」
「怖いのは中国の脆弱さだ。いま中国政府は沿岸部から内陸部の貧しい地域に対する富の再分配を進めていいるところ。輸出への依存を徐々に減らしながら、安定した内需主導型経済への転換を図る戦略には大きなリスクが伴う。その一方で、政治・社会不安を招かないよう、雇用創出やセーフティネットの構築を同時に行う必要がある。
 中国が達成すべき課題は、内需主導の安定した経済成長モデルを構築すること。」
「「自由・平等・友愛」という国家理念を共有する者には差別なく与えるとされるフランスの市民権は、フランス共和制の象徴でもある。政府は、市民権を得た者に対して出身国や宗教、民族的出自に関する質問を一切禁じられている。」
「地元のクィニピアク大学が実施した世論調査によれば、ニューヨーク市民の52%はモスク建設に反対している(賛成は31%)それでもニューヨークのマイケル・ブルームバーグ市長は8月上旬、青い空と自由の女神像を背景に演説を行ない、ギングリッチやペイリンとは異なる価値観を打ち出した。
イスラム教徒をほかの人たちと区別して扱えば、私たちは自分たちの原理原則を裏切り、敵を利することになる……それは、テロリストに勝利を差し出すことにほかならない」
 この論争の真ん中にウェルテルィとレーゲンハードはいる。しかし2人の言葉に耳を傾けると分かるように、対立の核心は、人種差別や異文化への姿勢、病的な恐怖心、政治的な立場ではない。問題の本質は、「公的な領域で、私的な痛みはどのような場を占めるべきなのか」「世界が前に進み続けるなかで、どのようにして記憶を神聖なものにとどめるべきなのか」という点にある。」

シカゴ大学のデービット・ガレンソ教授は芸術と科学に関する創造力を2つに分類した。
 1つは先鋭的な新しい概念に基づく創造力で、若さがものをいう。いい例がパブロ・ピカソアルバート・アインシュタインで。もう1つは徹底的な試行錯誤の上に築かれる創造力で、開花に時間がかかる。ポール・セザンヌチャールズ・ダーウィンのケースだ。」

成長力&幸福度 世界国別ランキング

「アメリカの投資家で大富豪のウォーレン・バフェットいわく、これまで人生で経験してきた良いことはすべて、適切な時代に、適切な国に生まれたおかげだという。
 この言葉は正しい。世界のどの国にも才能ある人物はいるが、人生でどれくらいチャンスを得られるかは国と時代によって異なる。富と影響力が西洋から東洋に移り始め、金融危機後の新しい世界秩序が形作られつつある今、この点はとりわけ見過ごせない。バフェットの時代はアメリカが「適切」な国だったが、もはやそうとは言いきれないように思える。」
「欠点はあるが、このランキングはいくつかの重要な事実を浮き彫りにしている。第1は、概して小さい国ほど有利だということ。中国やブラジル、トルコなど、新興大国の活力は特筆すべきだが、ランキングではエストニアスロベニアのような小国に遅れを取っている。小さい国ほど、国民の総合的な幸福度を高めやすいからだ(中国は世界第2位の経済大国だが、13億の人口の半分以上は過酷な貧困状態で暮らしている)。
 お察しのとおり、成績がいいのは小さくて豊かな国。上位には北欧諸国が名を連ねている。
 好成績を挙げるカギは、国民の多くの層に質の高い教育を提供できる体制があるかどうか。」
「全体的な経済状況を掴むための尺度として使われるGDPは、30年代の大恐慌以前に重用されていた無意味なデータの羅列に比べれば、かなり役に立つ。問題は、市場の活動に焦点を絞ったGDPという指標が、社会や政治に対してあまりにも大きな影響を及ぼしていることだ。
 家事や育児など、市場とは無関係な活動はGDPに計上されない。一方、災害の影響を強く受けるという特徴もある。ハリケーンや大洪水に見舞われた後の復興事業によって、GDPが押し上げられる場合もある。
 刑務所を建設したり、運営したりするのも経済活動。だからGDP算出の上では、刑務所が多い国は少ない国より有利になる。
 国民の大多数が豊かでなくても、企業と富裕層が経済的に潤えば、みんなが繁栄を享受しているかのような印象を与えるのも問題だ。
 資源の枯渇や環境破壊といった経済のマイナス面も、GDPを見ただけでは分からない。」

世界で11番じゃだめですか? We're No.11!

「アイケンベリーは、獲得した同盟国の数によって国家の影響力を測るという独特の手法を提唱している。」
「アメリカの国防費は、他の先進国の国防費を合わせた額を超えている。アメリカが好戦的だからではなく、国際システムの守り手だからだ。アメリカの軍事力が地球上のあらゆる地域に及んでいるからこそ、世界的不況の今もグローバル化が進んでいる。」
「経済的優位を失ったアメリカが今後も「世界のゴッドファーザー」でいられるかどうかだ。アメリカの力を支えるもう1つの大きな要素は、言うまでもなくドルだ。アメリカだけは、いくら負債を抱えても、債務不履行や通貨の破綻を心配しなくていい。大半の国がドル建てで外貨準備を保持しているからだ。」
「別の国が台頭してアメリカの地位を奪おうとしているというより、国際システムを運営する主要国の能力が低下しているというほうが実情に近い。」


「こうしためまぐるしい新旧交代は痛みを伴うため、多くの人々が変化に抵抗する。しかし消え行く産業があるからこそ、新しい産業に資源が振り向けられ、長期的には大幅に暮らし向きが改善されるのだ。経済学者のヨーゼフ・シュンペーター(1883~1950)は、こうした変化のプロセスを「創造的破壊」と呼んだ。
 シュンペーターの時代に比べ、今では電話交換手はめっきり減った。だが代わりに、ソフトウェア開発など、昔では想像できなかったような職業が生まれている。」
「そんな国においても、世界を救うためにあえてガソリンの値上げを訴えようとする政治家は1人もいない。そんなことをすれば政治生命を失いかねないからだ。
 問題の核心はここにある。政治家はそれぞれの選挙区から、その地域の抱える問題に対応することを期待されて選出される。世界を救おうなどと考える政治家は長続きしない。 
「優れた国家指導者にできることは、地球規模の問題が起きたときにその衝撃を緩和することであって、根本的な解決を図ることではない。」
「ランキング上位に並ぶ国々には、共通点があるようだ。戦争を避けて、暗く生まじめに暮らしていること。そして欲望を抑えて、勤勉に活動していることだ。わがアメリカが11位という情けない順位に甘んじているのも無理はない。何しろアメリカは憲法に「幸福の追求」をうたっている国。言い換えれば、あくまで現状に満足しない国なのだ。」