Bi-Bo-6

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記憶を記録 feat. 宇田川藍

湖のほとりで - アンドレア・モライヨーリ監督

"LA RAGAZZA DEL LAGO"
2007年/イタリア/イタリア語

07年度ヴェネチア国際映画祭批評家賞2部門受賞
08年度イタリア・アカデミー賞史上最多10部門独占

とにかく華々しい経歴をお持ちのこのイタリア映画。
お味は…というと。


とても落ち着きのある、サスペンスです。
精神的な、おはなし。
ヒューマンともまた違う。
「親子」とはなんだろうか
「自分」ってどこまで大事かな?
イタリアののどかな田舎、湖畔の村が舞台。


アメリカナイズド(笑)されたハッピーなエンディングもなく、
かといって深い爪痕を残すわけでもなく…
こころにちょっとしたひっかかり…ちょっとだけチクっとする痛み。


とても95分とは思えないほどの厚みのある内容です。


★----

まず何よりも"イタリア"の生み出した究極の美的センス。
部屋の調度品からガーデニングの花々まで、隅々から豊かな生活が伝わってくる。
イタリア語は巻き舌ばかりでまったく理解出来ないのだけど
彼らはとても誇り高い文化の上に生活をしているんだ、って実感した。


そうなんです、画面から「誇り」と「豊かさ」が伝わってくる。
それは絶対にお金には変えられないもの。
もうそれが素晴らしすぎて、開始15分のなんともないシーンで涙。
マルタがくだる坂道での「ボンジョルノ♪」でちょっと感動したり。


話を映画に戻すと、まず映像美と音楽のギャップ。
静かな湖畔(古い)風景の上に重なるのは、バスの効いた電子音(現代)。
このミスマッチ具合が、正確に言えばミスマッチしていないんだけれど、そういうことです。
見事です。音楽がとても良い。


そしてカメラワークも。
お金がかかってるのかかかっていないのか微妙なラインの技術(きっとかかってる)。
ちょっとした手ぶれは演出の内。
最初の方、アンナの死体を警部達が取り囲むシーン、とてもセンスのよいフェードイン。


脚本としては、かなり無駄を省かれていると思う。
たとえばアンナの殺された当時の年齢が出てこないし
(ホッケーを辞めたのは17歳のときだっけ)
導入で「主人公かしら」って思わせぶりのマルタも謎のまま。
けれど、そういった余計な情報を省いてスリムにまとめたおかげで、
後半メインになってくる「人間関係」「親子」「夫婦」といったテーマがより際立っていた。
これが「妙」というやつなのかもしれない。


印象的だったのは
「フランチェ、なんでピアノ辞めちゃったんだ?」
「わからない。飽きちゃったのよ。突然辞めたくなったの。」というくだり。
アンナと同年代であろうフランチェスカにいわせていたけれど、
これは女性ならではの衝動なのかな?思春期だからかな?


まとめると→
*奥さんは頭の中に消しゴムを持ってる
*娘は「ネットで調べたのよ!」
*世話のやける子ども
*愛し合ってるのに、セックスできないふたり
*好きだったわけじゃない。気づかせてあげたかったアンナ


こういったシリアスな映画もたまには*