Bi-Bo-6

Bi-Bo-6

日常のあれこれ

(出典不明)

「こうして単一不可分に見合った均質な「フランス文化」の存在は一種の神話であり、中央集権的なイデオロギーの生み出した一つの幻想にすぎないのではないかという疑いが強くなる。だがここで注意すべきは、かりにそれが幻想にすぎないとしても、そのような幻想自体もまたすでにフランス的な文化の特徴的な一面をなしているということである。現在フランスとよばれている国の文化の特徴を観察するためには、文化を変容の相のもとにとらえて、その多様性と普遍性に注目しつつ、対立と葛藤、そして局地的な均衡と調和を繰り返しながら形成されつつあるダイナミックな文化のモデルを考える必要があるだろう。」
「興味深いのはこのテーマ(「日本文化は存在するのか」)を選んだ学生の大部分が、まるで自分自身の存在理由を疑われ彼らの誇りを傷つけられたかのように、懸命に時にはきわめて厳しい調子で日本文化を弁護し、日本文化の存在を証明しようとしていることだ。これに対して日本文化の存在に疑問をもつもの、あるいは否定的な判断を下した回答はきわめて少なく、全体の一割にも満たない。」
「日本文化の存在を肯定し強調する主張の多くは、たしかにそのような外国文化の影響は大きかったが、しかしその影響下で日本は独自な文化を創出しえた、例えば、仮名うや短詩系文学、源氏物語、茶道や桂離宮、……というような形をとる。」
「日本文化の存在を否定する少数派は、そのように日本的といわれているものの多くが実は外来のものであることを指摘して「日本的なもの」の欺瞞を証明しようとする。そしてその中のごく例外的な数名の学生が、文化とは結局、個人の生き方の問題なのだから、「日本」などは私と無関係であることを主張する。」