Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

☆東京の空間人類学 - 陣内秀信

東京の空間人類学 (ちくま学芸文庫)

東京の空間人類学 (ちくま学芸文庫)

「すき間としての路地が何本も引きこまれ、奥にバーや飲み屋がひしめいているのである。そこはむしろ、車が侵入しない都市の安息地でもある。」


「現代の都市は容赦なく発展し、冷酷な改造を次々と企てる。街区の中に、もはやすき間や裏を残さず大きな建物ですっぽりおおってしまう。本来の町といえば、店と住まいが複合した町屋が並び、そこには渾然一体となった環境が見られたのだが、都市改造でまず商業ビルへ、そしてスマートなオフィスビルへと置換されるのである。こうなると都市の猥雑な空間はついに地上から姿を消さざるをえない。商店、飲食店、風俗的要素は行き場を失い、結局地下へもぐることになる。こうして都市の地上と地下とで、明快な機能の分離が貫徹し、日本独特の<地下街>が誕生するのである。」
「迷路のようにごちゃごちゃした小さなスケールのその空間自体が案外日本人の感覚になじむものだからではなかろうか。」