Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

☆青木保の鳥の目虫の目(新聞連載) - 青木保

「料理批判、それも文化としての料理批判はまだ容易に根づかない。衣食住は人間にとってもっとも重要な基本事実であるはずなのに、これらをめぐる実践と批評は文化的行為としていまだ正当に位置づけられていない。考えてみれば、衣食住を大事にしないで経済大国になったのが日本の実情であるから、こうした文化がきちんと根づくには時間がかかるということなのかもしれない。」
「 吉田健一氏が、京都の上質な和菓子は文学作品や芸術作品と同じ価値があると書いているのを昔読んで感激したことがあったが、実はこの観点が文化をとらえる時に一番大切なことである。ながい間、日本のヨーロッパへの関心は、頭でっかちで観念的な文物の輸入には急であったが、その生活文化を理解する視点をもち得なかった。生活文化の理解なくしてヨーロッパ文化をいくら研究しても、所詮は絵空事でしかない。」

「生活文化の充実と質の向上を求めて、人間は生きるはずである。ぜいたくは人間に許された生活上の目的に他ならない。」
「世の中に、安くておいしいものがあるという人もいるが、僕はそうは思わない。それは安いだろうし、おいしいのだろうが、安い範囲内でおいしく食べさせてくれているだけのこと〜」
バブル経済の時は「高ければよい」、それがはじけると一転して「安ければよい」となってしまう風潮」