Bi-Bo-6

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記憶を記録 feat. 宇田川藍

アフリカで誕生した人類が日本人になるまで - 溝口優司

タイトルに惹かれて、Kindleで購入。

果実が主食のチンパンジーの大臼歯はエナメル質が薄いとか、口で皮をなめしていた人々の前歯は特別な形をしているなど、歯にはさまざまな情報が含まれています。

私は男性18ヵ国、女性16ヵ国の現代人の歯の大きさのデータと、食物との関連を調べてみました。その結果は、小麦・卵・肉類・ミルク・バターなどの食品群を食べている人たちは歯が小さく、果物類・芋類・豆類の食品群、または魚と米を主に食べている人たちは歯が大きい傾向がある、というものでした。まさに、牧畜と小麦栽培が背景にあるヨーロッパ人の食文化が、歯の小ささに関連しているということでしょう。

同数の人々が完全に混血したのであれば、縄文人弥生人の中間の特徴を持つ人ばかりであってもよかったのではないでしょうか。しかし、弥生時代中期の頃、九州北部では、渡来人の特徴を持つ人々が圧倒的多数でした。それはいったいなぜなのでしょうか。よほど大勢の人が、日本列島に渡来してきたのでしょうか?
 実は、1000年間に100万人を超えるような規模の渡来民がやってきたのではないか、とする説が出されたこともあったのです。しかし、これまでに発掘された遺跡では、渡来民が大量にやって来たことを推測させるような痕跡、たとえば出土した道具の素材や形がそれまでとはがらっと変わる、といったことはありません。また、大量の人々が来れば、縄文人との間に土地を巡る争いなどが起こったと考えられますが、そのような痕跡もないらしいのです。
 では、少数の人々がやってきただけで、渡来民よりずっと大勢いたはずの縄文人と置き換わるようなことが、可能だったのでしょうか?この謎を解く鍵は、人口増加率にあります。狩猟採集民と農耕民では、人口増加率が異なるのです。農耕によって安定して食料が供給できるようになると人口が一気に増えるため、農耕民の人口増加率は、狩猟採集民よりも遥かに高いのです。