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日常のあれこれ

搾取される若者たち ――バイク便ライダーは見た! - 阿部真大

搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た! (集英社新書)

搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た! (集英社新書)

たしか3年前のお正月くらいに買った新書。
タイトルは少々大仰だと思うが、「好きを仕事にする」「趣味の分野で働きたい」と思う若者にとっては、苦味のある良薬かもしれない。

長い人生、食い扶持と自己実現の達成は、常に天秤を揺らし続けていく。

「これをしていれば死ぬまで食ってける」というのは、バイク便ライダーたちの間でよく交わされるフレーズである。四〇歳や五〇歳になっても元気に走っているライダーたちを見ていると、そういう気持ちになるのだろう。しかし、その年齢に至るまでに脱落したライダーたちはそこにはいない。バイク便ライダーの職場では時間軸が消失している。軽い高揚感がいつまでも続くものとして夢想されているのである。時間軸が失われたクリーンな職場でこそ、バイク便ライダーたちはバイク便ライダーを「演じ切る」ことが可能になる。リアルな労働の「底」が見えるような職場であっては、彼らは仕事に没頭できないだろう。リアルを消し去るような「職場の演出」も、ライダーたちを仕事へと向かわせるために必要なものである。