Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

SALUS December 2011 vol.29

胸踊る活劇に想う、自分の存在意義 文・山下敦

アレクサンドル・デュマ著 『三銃士』

三銃士 上 (角川文庫)

三銃士 上 (角川文庫)

復讐を自らの神とするこの悪女は手段を選ばないにもほどがある女なんだが、復讐の一念に殉じる純粋さでどうかすると天使のような美しさを見せ、〜悪役と分かっていても肩入れしたくなるほど。彼女もまた、自らの正義を貫く熱い心の持ち主なのだ。
大義のため、名誉のため、あるいは誰かのために惜しげもなく命を捧げる。21世紀の現在からすれば、それは博物館にでも飾られるような生き方なのかもしれない。でも、本当にそうか?だったら19世紀のこの物語はなんでこうも血潮をたぎらせるのか?本当は小さな自分を超える価値を探しているからじゃないのか?この単純明快で痛快な物語は、社会人とはただ自分で稼いで食っているだけの存在ではないと気付かせてくれる名作なのだ。