Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

ナショナル・ジオグラフィック 日本版 2011 10

ティーンズの脳の驚異

  • けがをおして出場すべきか
  • 新しいもの好き
  • 母と娘: 10代の子供が親の価値観に反発するのは、自我を確立していく過程での正常で健全な反応だ。
  • あなたがやるなら、私も
  • 肘打ちと膝蹴りは禁止
  • 父と息子
  • 主役は若者: 大人は案内役、コーチ、応援団として、10代の若者たちを導くことができる。大切なのは、一歩下がって若者の自主性に任せるタイミングを見極めることだと、神経科学者のB・J・ケイシーは言う。

「構造の変化は、思春期を通して続く。視覚や運動など基本的な機能を担う脳幹近くの後頭部から、より複雑な思考を担当する前頭部へと変化は広がる。脳の左半球と右半球を結び、多くの高次機能に欠かせない情報伝達を担う脳梁は徐々に太くなる。記憶をつかさどる海馬と、目標の設定と物事の優先順位の決定に関わる前頭葉の結びつきも強くなり、記憶と経験を基に決断を下す能力が高まる。同時に前頭葉そのものも発達して情報処理が速くなり、ネットワークも豊かになって、以前よりはるかに多くの要素を考慮して決断を下せるようになる。」
「センセーショナルシーキング」:脳が刺激を受けるような体験、非日常な予想外の体験を求める傾向 cf.ハート・ロッカー
「思い切った賭けに出るのは、突然リスクを小さく見積もるようになるからではなく、友達からの評価という報酬を重視するから。」
「最後にもう一つ、10代の脳の特徴を掲げておこう。それは、脳の前頭葉が他の領域よりも遅れてゆっくりと成熟するために、脳の柔軟性が保たれてる期間が長くなることだ。思春期の子供がとても不器用かと思えば、驚くほど高い適応力を示すのは、このためである。前に説明したように、神経細胞の軸索が髄鞘という脂肪質の絶縁体で包まれると、脳内の情報伝達が早くなる。ここで不思議なのは、この"高速化"が脳の後ろから進み、前頭葉は最後になることだ。ちょっと考えると、これは都合がわるいように思える。広い外界に出るときには、複雑な判断をする前頭葉が活発に働いたほうがいい。最も困難な課題に挑むときに、なぜこの領域の高速化が進んでいないのだろう。その理由は、情報伝達が速くなれば、神経回路ネットワークの柔軟性が失われるからだ。軸索が髄鞘で包まれれば、情報の伝達速度は上がるが、新たな知識の習得は難しくなる。「だから、脳内で軸索が髄鞘に包まれる時期は、学習者にとって非常に重要な時期なんです」と長年髄鞘を研究してきた米国立衛生研究所神経科学者ダグラス・フィールズは説明する。「ネットワークの高速化が完了すれば、その変更は難しくなります」体験を通じて最適なネットワークが形成される時期は、脳の領域ごとに大きく異なる。たとえば、言語中枢は子供が母国語を習得する13歳までに、集中的に高速化が進む。これにより、母国語はしっかりと身に付くが、新たな言語の習得は難しくなる。前頭葉で軸索が絶縁体に包まれる時期は、10代後半から20代初めにかけてだ。高速化の完了が他の領域より遅くなるおかげで、外界に出て未知の状況に直面するときに、高い柔軟性が確保されるのだ。」