Bi-Bo-6

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記憶を記録 feat. 宇田川藍

クレイマー・クレイマー - ロバート・ベントン監督

"Kramer vs. Kramer"


1979年/アメリカ/英語


結婚や愛や自分の人生について。知っておきたいこと、これから直面するかもしれないこと。
これが本当に30年前につくられた映画なの?と思ってしまうくらい。当時はかなり革新的な作品だと受け取られていたらしい。そしていま見てもその先見性、普遍性に驚く。タイトルは「Versus.」裁判で両側に座る二人のクレイマーさんを表している。

「子はかすがい」


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ダスティン・ホフマンが撮影時、彼自身も離婚調停の真っ只中にあったこと、メリル・ストリープが撮影直前に最愛の恋人を亡くしており、そのお腹の中には命が宿っていたこと…撮影はアドリブや即興のアイディアが積極的に取り入れられていたこと。
この映画は「生まれるべくして生まれ、評価されるべくして評価された」と言えると思います。「私たちにこの作品があって良かった。」と言いたい。


特に法廷でジョアンナが弁護士に「君は離婚した。一番付き合いが長く、信頼のあった相手との関係に失敗したんじゃないのか?」と詰め寄ったシーン。まるで「きみは人間失格だよ」だと説き伏せてるみたい。そのとき、ジョアンナの目にはテッドの目配せが映る。「そんなことないよ」。
本当はこんなに醜い争いをしているのに「子供のため」だなんて言ってお互いのエゴをぶつけ合っていることに半ばいやけがさしている…彼のアイコンタクトは、観客の人がうすうすと感じていた違和感を見事に昇華してくれたように思う。


裁判の勝敗、お金に関する諸問題…それらが現実として存在していることを充分に受け入れ、向き合いつつも「母子の愛」「父子の愛」「子から両親への愛」「両親から子への愛」「夫婦の愛」すべてを丁寧に(母子の愛に関して言えば、もっと見たかった)描いている。それでもなお1.5hという尺に収まっていることは奇跡だと思う。物語のテンポもさることながら個々のエピソードに強い象徴性を含んでいて、厚みがある。
ママが出ていった次の日の朝に妙に意気込んでフレンチトーストを作り始めるのはいいが、思っているほど簡単にはうまくいかないパパの姿。誰にも相談できない悩みを抱えて、大好きな子供の元から自ら立ち去ることを選んだけれど、本当は離れたくなくて毎日遠くから見つめているママの姿。頭を縫う痛みにさいなまれるビリーをそばでずっと勇気づけるパパの姿。夫婦で話すとどうしてもケンカになってしまうこと。パパが秘書と寝てるときの姿勢がユニークだった。疲れはてて、誰かに(女性に)甘えたい本音がすごく出ていたように思う。
自転車に乗るときのビリーとパパには男の友情が芽生えていたし、ママが会いに来たときの「ビリー、ハンサムね」の一言には息子が愛らしくて仕方ない彼女の母性がにじみ出ていた。


ラストシーンが絶妙*