Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

再会の食卓 - ワン・チュエンアン監督

"團圓"
シネマトゥディ:http://www.cinematoday.jp/movie/T0009440

中国と台湾の歴史に翻弄(ほんろう)された元夫婦の悲喜こもごもを描き、家族とはどうあるべきかを問い掛ける人間ドラマ。

2010年/APART TOGETHER/中国語


予告編が、泣ける。

エリックを観たときに出会って、「ああ絶対観よう」と思いました。まさか公開初日に行くとは思いもしなかったけど!


離れていても気持ちでつながること、そばにいて何でも知ってること…いっしょに人生を歩んできた家族…中国という土壌からしか生まれない繊細な作品。どこか心の隙間にはいってきて、じんわりと温めてくれる。「こんな小さなことしかできないけれど、」という切なさを伴って。そんな作品。


★---


中国の文化が大好きです。行くまではそんなに興味がなかったの。でも台湾に3日間・上海に5日間・香港に6日間と去年経験して、「この国はなんて私たちに近いんだろう、物理的にも、精神的にも」と気がついてからは何かと中国を応援してる。たとえ1人あたりのGDPが1/10でも、そのグラフの角度を見たら中国のエネルギーがどれほどのものか、わかるはず。言い訳してるうちに、日本はあっという間に「アジアのはしっこの国」へと押しやられてしまうよ。
…という話は置いておいて


まず、去年台湾に足を運んだことから中台関係にものすごく興味が湧いていること。台湾の人は本当に日本を愛してくれている。なんだかこそばゆいくらいに。私たちもその「期待」をもっと意識して、応えていってもいいんじゃないかなって思った。そしてまた、一度は占領した日本のことをなんで好いてくれるのかって理由も知ると非常に切ない。最近は本省人も増えて、貿易でも情報していたり、やっぱり中共の色が濃くなってきたらしい。現状が動く日は訪れるのかな…。

次に、同じように去年万博中におじゃました上海が舞台であること!本当に、南京西路の一歩裏路地に入るだけでああいうコンクリうちっぱなしで洗濯物を高いところに干しているような、長屋に出くわす。生活感に満ちている風景にときめく。そしてそんな古き良き上海が消えていく運命にあるということも、この映画は描いている。
マンションの建設シーン、本当に私たちが行った2010年5月はあんなふうににょきにょき工事中。
「浦東新区に行くといい」とか、テレビ塔*1あと盧浦大橋という虹のライトアップで有名なアーチ橋も。リニアも宣伝してた!そういう「時事ネタ」が随所に入っているのもとても魅力的。外灘や新天地などの観光案内とまではいかなかったけど、やたらと高い位置にある高速道路、ゆるやかに流れる黄河を見るだけで行った気分!


ルーさんがまたすごくいい人で!ユィアーが「きっと悟っているわ」なんていうから!その次のカニを買いに行くシーンで悲しみ倍増。円卓を囲みながら本音を語るところで悲しみ4倍。決意の食卓にて、「ユィアーはどう思うんだ?」のちの間にせつなさがにじむ。本当に私のすきなタイプのキャラクター。
また最後の、「食べちまおう」が涙を誘うんだよね。もう全然食べれないのに。それにしても1年であんなに老けてしまう(可能性もある)のだなあ、と考えると本当に年齢ってこわい。


とにかくイェンションが台湾に帰ってから引っ越した後のあの3人の空気がやばい。果たしてあの決断が正しかったのか…わからないんだよね。
離れても続いていた気持ちと、ずっと寄り添って生きてきた事実の対比の対立がおもしろい。家族みんなの演技もすばらしかったです。町の人々も。媚びない、うそがない。

こういうこじなまりした映画というのは、役者のキャラから入る先入観がなくて洋画や邦画とちがういいところだと思う。あと音楽はない。代わりに主人公達がうたう歌謡曲。淡々とすすむセリフに「いつもどおりの」カメラアングル。


結婚のくだりも笑えた!コメディの挿入もごく自然で、スキがないです、この映画*

中国人の"人付き合いの距離感・ウェットさ"には日本人と近いものを感じるから好き
気持ちでつながること⇔寄り添って歩んだ人生
消えていく上海の長屋
中共」「台湾」それぞれの気持ち
大切な人と食でつながる、こと
   ―――http://twitter.com/#!/aimerci/status/33958157361348608

*1:アジアで2番目、世界で4番目ですというセリフ付き。たぶん上海環球金融中心は建設中