Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

ソーシャル・ネットワーク - デヴィッド・フィンチャー監督

"The Social Network"
http://500MillionFriends.com/ドメインのセンス。


出演
ジェシー・アイゼンバーグアンドリュー・ガーフィールドジャスティン・ティンバーレイク/ブレンダ・ソング


「今世紀を代表する映画がついに出た!」という煽りにツッコミしてる人が多いけど、たしかに語弊があると思う。インパクトを狙ったんだと思うけど。
「21世紀ならではのエンターテイメント映画が(10年かけて)やっとあらわれた!」という意味なのではないでしょうか。


  • 夜型人間にはたまらない映画
  • 真偽や演出は割り切って楽しめ☆(フィクション。リアリティムービーでもない。)
  • 私の主観だけど、マークが意図的に"いい人"に描かれてると思う(ただ、裁判の証言が「みんな違う」という事実はわかりやすく表現されていた)
  • セリフは日本語字幕だと割愛されている気がする/プログラミング用語をはじめ、作品の"すべて"を理解したくなる映画。
  • エドゥアルドの見た目が友人に似ている。
  • 作品の好みは分かれるかも…
  • 20代前半・大学生の等身大の感性がよく表れていると思った。/どこか自立し切れていない感じ?判断がいちかばちかの感じ?




★---



結局「Facebook」は成り上がりの手段の一つでしかない、というのが結論。現代を代表するサクセスストーリーとして、彼や彼の周辺の人物が取り上げられたのだという話。
そして、彼自身の起訴問題をベースに話が進む点。「決して成功とは言えない」影の部分があることがこの映画の大きなキモ。
だから「FacebookSNSで…mixiとは違って実名文化で…」という「受け手側(ユーザー視点)」で捉えている人よりも、「Facebookって今の時価総額500億㌦らしい!*1」なんてニュースに飛びついてしまう、「経営者側視点」に飢えている人にはストライク。


エンターテイメントとしてもなかなか楽しめると思う。
物語の持つ疾走感、カメラワーク、音楽…どれもが私たちの感性を刺激してくれます。




気になる人は注意、程度のネタバレ


まず、エンターテイメントとして非常におもしろいです。わくわくする。
前半の疾走感はwebを題材にしているからならでは?なによりも「2時間で2万2000アクセス」!
音楽も好きです。20代前半の感性が表れてる…という感想はこのハウス色満載のサントラがあってこそ!
あとカメラワークがさりげなくセンスにあふれてる。基本的に「人の目線」、これがとても大きいと思う。自分がその場にいて事を見てるような感覚に。変に芸術性を気取らない(アングルで奇をてらわない)ところが良いです。
そのかわりフォーカスとか特殊効果のようなところで*2おもいっきり遊んでくれるのが印象的。ちょっとしつこいかな、って思うかもしれないけど、言うほど気にはならない程度です。きれいな画で、楽しいよね。ある意味、けばい。
とくにショーン・パーカーとカリフォルニアのクラブで話してるときの音楽・音響→ボートレースの音楽の流れがとっても印象的!このシーンは映画館で観てこそ!「映画としての存在感」を感じます。
あとすっごくどうでもいいのだけど、白い吐息は合成だと思う(これはただの予想)


随所に皮肉が散りばめられています。風刺的という意味ではなくて、コメディとまでは言わないけど笑えるって感じ。中でも「ブルックスブラザーズの営業」というセリフに始まる、学長に直訴するシーンは痛快です。
NapstarやMyspaceにFriendster、他にもプログラミング用語やアルゴリズムって単語も出てきたり、思わずくすっと笑えるネタもいっぱい。私なんて全然プログラミングも知らないので、わからない単語ばっかり。「これ全部理解したい!」って、本当に思う。
だけど兄弟の「オタクなんかぶっ潰してやる!」という発言も。来客に握手を求められても、音楽を聞きながらPCの画面からは目をそらさないような態度が「クールだね!」って言われていたり。一つ一つの所作もおもしろい。エドゥアルドがNYから来たときのチャイムで、グラスを2つラップトップの上に器用に置いたところ、とか。

マーク・ザッカーバーグについて

この映画で彼は「実はそんなに嫌なやつじゃないよね」と好意的な印象を持つだろうな、と思った。(ちなみに女性の弁護士役は映画での創作らしいです。観客者目線の提供だとか。そしてこれは、まさに彼女のセリフでもある。)映画の話をするので現実の彼の性格がどうかは、知りません。
とにかく超早口。冒頭のエリカとのシーンは、「ハーバード」の世界に入り込むにはもってこい。ファイナルクラブの話。「マークって、典型的なオタクじゃん。」(最近はギークという言い方をされている気がする。これはイメージアップのためもあるのかな?)あと覚えているのが、ビールを投げて割っちゃうところ。
最後にエリカにフレンドの申請をしてひたすらF5を押している彼の表情が印象的でした。もうこの顔で、いままでのなにもかもを許しちゃう。パーカーに対する「あれはやりすぎだ」も。「アイディアを盗まれた?じゃあお前らにはフェイスブックがつくれるのか?作った者勝ちでしょう。」という主張も、わりと共感してる。将来的には常識になっていくのかなあ、という。
寮のサイトをハッキングしてるシーンはスパイ映画が現実に逆輸入。

エドゥアルド

エドゥアルドは終始よく分からない人、で私のなかでは終わってしまいました。もう1度映画を観たらもう少しわかるかも?とりあえず、彼がショーンをうさんくさいと感じる気持ちもわかるし、コツコツと誠実にいきたいっていう気持ちも、わかります。

エリカ

彼女の気持ちもすっごくよくわかる。最初から最後まで、セリフがとてもリアルでした。涙目が印象的。「あなたは偉大なプログラマになるわ」というセリフの口調も、決して皮肉っぽくなかった。

兄弟ともう一人

名前忘れたので、兄弟ともう一人。彼らのヒールっぷりが最高でした。お兄ちゃんいい味だしてた。

ショーン・パーカー

うーん私も初見ではうさんくさいと思ってしまいそう。だから、エドゥアルドの気持ちは結構わからんでもないの。作中で一番発言の信義性に欠ける人…だけど「頭の回転の速さ」が異常という事実だけはまちがいないのかな、っていう。どこか伊坂幸太郎アヒルと鴨のコインロッカーにおける河崎さん的な。重力ピエロの春くんでも。

クリスティーナ

「いそうー!」っていう役。「なんであなたのステータスは"交際あり"じゃないの?」と詰めよるところはありがちだからこそ、好き。

余談

私はかなりNewsweek誌の批評に毒されて観たほうだけど、ちょっとあれは言いがかりかなって思う。
世界最大のSNS誕生と傷だらけの創業者を描いた映画『ソーシャル・ネットワーク』が明かす現代の孤独
世界最大のSNS創業の舞台裏を赤裸々に描いた『ソーシャル・ネットワーク』の演出と創作の境界線
あくまでエンターテイメントとして味わうのがマナーなんじゃないかな、って思う。もちろん観た人が誤解してしまいそうなシーン(かな?って思った)部分は…ちょっとあったけど。


とりあえず早口なので、リスニングの教材に。*