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記憶を記録 feat. 宇田川藍

七時間目のUFO研究 - 藤野恵美

七時間目のUFO研究 講談社青い鳥文庫 245-3

七時間目のUFO研究 講談社青い鳥文庫 245-3

青い鳥文庫は個人的にすごく思い入れがあります。パスワードとかとくに。
ルビが懐かしい。


その中でも「大人向け」という意味で話題になっているのがこの本。
(UFOやその他疑似科学など)「あるかないかわからないもの」を「信じるか信じないか」の「判断」について。
こうやって聞くとまっさきに思い浮かぶのがメディアリテラシーという言葉。

(ぼくの飛ばしたロケットは、重力に負けて、地面に落ちてくる。でも、月は落ちてこないんだ。空を飛ぶ飛行機だって、重力の負けない力があるかぎりは、落ちることはない。)

「トナカイがひく空飛ぶそりに乗って、クリスマスイブの夜、世界中の子どもたちにおくりものを届けるサンタクロース……。サンタクロースを本気で信じている子は、うたがうことなく、プレゼントを入れるためのくつ下を用意して、ぐっすりと眠って次の日の朝を待つよね?遅くまで起きて、サンタクロースの正体を見てやろうと思うのは、サンタさんの正体に、うたがいをもちはじめた子じゃないかな?」

「〜宇宙人の乗ってるUFOといううものが、存在しているかもしれないし、いないかもしれないと思っている。だからこそ、決定的な証拠というものを見つけ出せればいいと願っているんだよ。」

(お母さんは、ぼくのことを心配したからって怒ってるけど、心配してくれなんて、頼んでない!勝手に心配してたくせに!帰るのが遅くなるのって、そんなに悪いことなの?ぼくは……こんなに怒られるほど、悪いことをしたとは思わない。暗くなる前に帰るっていう、お母さんの言いつけを守らなかったから?ぼくはだまって、お母さんにの言いつけにしたがっておくしかないの?もうイヤだ!ほっといてよ!お母さんなんか、キライだ!)

でも、うそをついてまで、相手の気を引いて、なんになるのか。
(そんなの、むなしいだけだよな……。)

「でも、人はわからないと不安だから、てっとり早い答えを求めてしまうんだろうね。」
「てっとり早い答え……。アダムスキー江尻さんみたいな人のことですか?」
「ああ、簡単に理解できて、道徳的に正しくて、受け入れやすい答えを聞ければ、人は安心できるんだ。自分で宇宙について考えようと思ったら、ビッグバン説を理解するために、まず一般相対性理論を勉強しておく必要がある。物理の基本的な知識を学んで、量子力学とか専門的なことも勉強して……数学もできないといけないし……。そういうことを自分で考えるのが、しんどくて、面倒な人は、宇宙の秘密を知っているというアダムスキーさんみたいな人にたよりたいと思うんだろうね。」
「あきらくんが、気持ち悪いって思うのは、きっと、あの人たちが理解できないからだろうね。ぼくは共感はできなくても、アダムスキーさんのファンの気持ちは想像できるよ。」

「ああ。自分で考えなくていいっていうのは、楽なものだよ。自分の考えで、自己の責任で、自分で選び取っていくのは、こわいものだからね。だれかが、絶対的に正しいというものを教えてくれたら、生きるのは楽になると思う。」


興味深いレビュー

http://www.amazon.co.jp/review/R2SV4XEGV66GX6
小学生が読んで面白いのか。
他のレビューで言われている、「大人も読んでほしい」というのはよく分かります。本書を読んだ子どもたちが科学的な思考を身につけ、客観的事実に基づいて考え判断する力が持てるようになることを意識して書かれた本と思われます。また、人の気を引くために大げさに話したり、人づてに聞いた話をあたかも自分が体験したことのように得意げに話す人たちの愚かしさも、非常に上手く描かれています。しかもそれらを、平易な言葉を使って懇切丁寧に説明しているので、小学生でも書かれていることはきちんと理解できるでしょう。

ただ、本当に小学校3〜6年程度の子どもがこの内容に興味をもって読めるんでしょうか。大人が本書に書かれていることを読んで興味深く感じるのは、メディアの情報に対して疑いや問題意識を持っているからです。しかし小学生では、まだそういった意識を持っている子は多くありません。「七時間目のUFO研究」というタイトルには惹きつけられますが、内容の多くは、主人公あきらが頭の中で考えていることばかりです。メッセージ性は非常に強く感じるのですが、子どもに読ませるためには、もっと物語の部分が充実していなければなりません。書かれている内容は価値のあるものですが、多くの子どもはきっと途中で飽きてしまい、最後まで読まないだろうと思いました。実際に、小学5年生の子ども数人に読ませてみましたが、反応は今ひとつでした。