Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

metropolitana 11 November 2010 Vol.95

贈り物

「言葉よりも饒舌に語り、自分よりも長い時間、相手に寄り添ってくれるもの。」
「まずは相手の年齢や性別、趣味、好きな色といった基本情報をまとめましょう。その中で"こういう場面で使うと便利かも"と思うアイテムを、相手の立場で想像してみてください。ポイントは"自分では買わないけれど、あると嬉しいもの"。また、季節をテーマにすると、相手をよく知らない場合でも選びやすくなります。」
「例えば出産祝いの定番、銀のスプーン。銀は毒に反応すると変色するため、かつてヨーロッパの貴族はこぞって銀食器を愛用した。食事を銀食器で出されるのは、"毒は入っていないから安心してお食べください"という印。そこから転じて、"生まれた子供がすくすくと安全に育つように"という意味が生まれたとか。"物"が代弁する、贈り手の気持ち。」
「注文はネットでもできるんですが、電話の方が嬉しいですね。話し方や会話の内容から想像したり、隙な雑誌を尋ねたりしながら、贈る側ともらう側がどんな人か、イメージします。その作業がないとうちのお菓子は完成しません。」
「旅行って、準備をしているときから始まるとよく言いますよね。それと同じで、相手について考えていること自体が、もう贈り物だと思うんです。」

コラージュ

「松尾さんは"青を効かせてフランス風に"など、国をデザインのイメージに当てはめることが多い。」
「レストランのペーパーナプキンやコースター、商品に付いていたタグなど、普通は捨ててしまうものも取っておきます。落ち葉や木の実、花なども、添えるだけで味のあるカードができますよ。」
「写真以外にも、電車の切符やお店のショップカードなど、相手との想い出にまつわる素材は、日常の中にたくさん転がっている。それらを目にするだけで、不思議と何年経っても楽しかった情景が甦るもの。"楽しかったね""また一緒に行こう""この時間を忘れないでね"――。精一杯の愛情をカードに込める。この幸福な気持ちを、早く相手に届けたい。」
「サプライズって、贈り物を渡している時間そのものを贈り物にしてしまう力があると思います。」
「時間は、物やお金と違い、どんなに頑張っても増やすことのできない、限られたもの。その時間を、相手のために、相手の知らないところで使う。」
「とは言っても、早まってあまり親しくない段階でプレゼントを渡すのはNG。相手が"お返ししなくちゃいけない"と感じるなど、精神的負担が生じるからだ。」
「例えば女性は買い物に行くと、『あのワンピースを着たらもっと素敵になれるはず』と想像してワクワクしますよね。これは、報酬を予測して快感をイメージさせる"報酬系回路"をドーパミンが活性化させるから。女性はこの回路が男性より発達しているため、物欲が高まりやすいんです。」