Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

j nude 2010 10/21 No.102

佐藤健

「『自分が死ぬ間際って、どうなるんだろう?』って、ひたすら想像し、考えました。死を迎える役を演じたのはこれが2度目なんですが、自分を非日常的な感情まの限界まで追い込んでいくんです。そうすると芝居中にふと、ちがう自分に出会えるんですよね。でも結局のところ"死"というものについては、いまだにわかりません。以蔵としては死に際に涙がこぼれたけれど、はたして自分はそのときどうなのかと考えると、涙なんか出ないのかもしれないと思ったリ……。むずかしいですね。」
「「まだ、わからないんです。」健さんは、この日何度もそう口にしました。でも戸惑いや困惑の表情はなく、むしろ微笑をたたえて。「自分はまだ、参加した作品の数も経験も少ないから、これからなんです」という健さんは、ひとつの作品を終えるごとに、自分が変化していく手ごたえを感じているようです。」
「変わらないようにしなkればと決めていることは、ぼくにはないんです。その部分で頑固になりたくはないと思っていて。むしろどんどん変わっていくことがいい。でも、あのころの感情は忘れたくないなとは思います。あのときに思っていたことは、あのときのぼくにとって正しいと思うし、いまも信じたいと思うし、いつまでも大切にしていたいんです」

"絶対幸福感" - 齋藤薫

「世界各国の幸せ調査を思い出した。1位はデンマーク、2位はスイス…日本は90位。

 じゃあ逆になぜ上位の国は上位なのか?そこに共通するのはズバリ福祉の充実。学校も、病院も、お金がかからず年金支給額も高い。給料の半分ほども税金でもっていかれるという代価を払いながらも、生きていくうえでの不安がまったくない。」
「それは、幸せが、"たった今"より"未来"で決まるものということではないだろうか?たとえ今、このときが"幸せ"であっても、1年先、5年先、あるいは20年先、50年先に幸せの気配が薄い、むしろ不安の方が多いとしたら、今も幸せ実感を得られない。」
「じつは、日本人は目の前の"ささやかな幸せ"ばかりを求めていて、大きな希望とか夢みたいなものを持たなくなっているという。」
「バブル期は、みんなドデカイ、身のほど知らずな夢を持ったと思う。だから今の40代女性は、今もなお、サイズダウンさせたとはいえ、何かイッパツ当てたいみたいな貪欲という名の夢を持ち続けている。
 しかし、その下の世代は、よく言えば地道に着実に無理をせず、今を生きている。それほど多くを望まずに。でもそのかわり、未来にあんまり夢を持たない人々。夢を不発にしたままの上の世代を見て学習したとはいえ、どうだろう。夢をあえて持たない人生って本当にそれでいいのだろうか?もちろん夢を持たなければ挫折もなく、失敗もなくて楽。でもおそらくはそれが、幸せ実感を持てない最大の原因ではないかと思う。たった今だって幸福感を持てないから。
 だいたいが幸せは宿命的に持続しない。たった今は幸せでも、次の瞬間、もう不幸せ感が襲ってくる。幸せなときに比べたら、今はずっと不幸……そう思ってしまうから。しかも、人とくらべてしまうと幸せの基準なんてまったく意味がなく、自分より幸せな人と比べたら全員不幸に決まってる。ならば持続型の幸福を全員にもれなくくれるものって、短絡的だけれど、夢とか希望しかないのである。」