Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

マイレージ・マイライフ - ジェイソン・ライトマン監督

"Up in The Air"


出演
ジョージ・クルーニーヴェラ・ファーミガアナ・ケンドリック

という、いわくつきの作品!!!


最終日1日手前のレイトショーを観に行きました。
翌日には終わるというのに、お客さんは15人も!


脚本よし翻訳よし(戸田恵子さん)!
ジョージ・クルーニーの演技もすばらしい、
いわゆる「ヒューマン」というジャンルがお好きな方であればかなりツボにくるはず。


題材やキャストからサラリーマン向けと思われそうですが(確かにビターではあるものの)、
未来を担う学生が観ても大きな勉強になるはず。
そういった意味で20歳前後の人にも、おすすめ。


最高でした★★★
「あと何回でも観たい。」
「DVDが欲しい。」
「もう一度、じっくり考えさせて!」

…そんな風に思った映画。
そして、そんな風に思ったのは実は初めての経験。
(完全に私的だけど)記念すべき作品にめぐり逢えて(めぐり逢い、も観なきゃ!)光栄です。


文字通り、どうやって生きるか、について
改めて問題提起をしてくれる(ポイントを示唆する)そういったお話です。
その意味では、とてもわかりやすい指南書と言えるかもしれません。
ところが問題は浮き上がってくる一方なのに、
劇中ではそのanswerが登場しません、ご自分で考えなさい、宿題よ、と。そういうわけなのです。


また、タイムリーな話題として、世界的に不況が渦巻いているということもひとつ重要な点。
(株価は値上がりしてるものの、私たちが景気回復を感じるまでは果てしなく遠い)
決して物語を書く上でのテクニカルな話をするべきではないのですが、
私たちにとっても身近な話題ですし、感情移入せざるを得ません。


他にはタイプの違う女性が2人(4人!?)登場したことも、大事。
もちろん誰が正しいという話ではない。


全体を見て感じた感想は「対比」
この映画に出てくるキャラクターはみんなベクトルがばらっばら。
その中で、つまり「あなたはどれ?」って選ばせるような仕組み。
ところが、これはインチキ占いでも有名な話だけど
人間って言うのは一言では表せないような複雑なものだから、どのキャラも受け入れることができるんだよね。
なかには「私だったらぜったいこんな選択しないわ」って思う相手がいるかもしれないけれど、
この映画の脚本はそこがすごい。
決して誰も嫌いにはならず、自分とまったく一緒でもなく(そこには手に届かない憧れの情感も含む)…


自分はどうやって生きていけばいいのだろう???
What should I do with my life?



以下ネタバレ







★----


まずはじめに。
始めの10分ほど、「空港が家だ」発言に端を発する
ライアンのエリートビジネスマンっぷりが最高!
とくにセキュリティゲートの部分で踊るように靴を脱ぐシーンがすてき。
キャリーケースを整えるシーンなど
随所に「かっこいい」仕草が散りばめられています。
もはやこの部分を観るためだけに映画を鑑賞しても損はないと言えるほど。
エグゼクティブ・ラウンジを悠々と活用してる姿にも憧れちゃう。


そして次にホテルでの講演会。

Moving is Living.
生きているとは、動いているということなのです。

このセリフ以外にも、珠玉の名言がずらり。
こっちの公演も全編見たいよね…。


ナタリーは現代っ子というよりは
とても現実的な考え方(ところがどこか打算的でもある)をする
いわゆる「高学歴女子」。
女性が社会にでるということ…過去現在未来、女性の社会進出も考える価値がありますね。
さすがに振られて大泣きするとは思ってなかったけれど、
「子どもっぽい」というイメージを作ってくれたので、成功。


ナタリーが大泣きしてライアンに縋りつく→アレックス参上のシーンは
一見するととてもソープドラマ的な展開になりがち。
だけれどもナタリーが抱きついてしまったのは別にライアンが好きなわけではない(old!)ということから
そういったやっすいドラマにならず…
23歳と34歳の違いを話す展開に…


個人的にナタリーの男性を見る視点は
23歳らしくないな、ちょっと幼いな、と思ってしまった。
けれど実際のところは自分が23になってみないとわからないわけです。
同じく、34になってみないとわからないこともある。
そういった意味でも学生に見てほしい映画。



結婚
仕事
家族


――きっとこれらが人生の"重荷"になるのだろう。
ポジティブな面はもちろん数え切れないほどある(だから重荷って表現は良くないね)、
けれどもその一方でどこかしらでかならず満たされない部分がうまれてくる
(たとえどれだけ幸せでもこの"負荷"が0kgになることはきっと、ないのだ)


ナタリーの「殻」発言で
自分の今までのやり方を省みたライアン。
それがとんでもない皮肉をうむとは、絶句。



「道に迷ってる人よ」…


あれ?


トリッキーな展開を売りにしているどこかの映画より、
よっぽど大きなどんでん返し。


それでも、歩き続けなければならないなんて*